2017年度、立命館大学大学院教職研究科の開設を受けて、「立命館大学実践教育学会」が創設されました。本学会では、院生、教員、修了生の方々を軸にしながら、教育委員会、附属校・一貫教育部、学校現場、専門機関など、大学内外で教育という営みに関わり教育・研究・実践に携わっておられる方々と共に、実践研究を深めていきたいと考えています。
教職大学院は「理論と実践の往還」を通して、力量のある教員の育成を目指しています。教育という営みは理論さえ学べばうまく実践できるものではありません。つまり、学習指導や子どもに関わる諸理論を形式的に実践に当てはめるだけではなく、自らの実践を省察して、そのなかから暗黙の実践知を浮かび上がらせることも大切です。その際、教師は「研究者としての教師(Teacher as researcher)」と言われるように、実践者であると同時に研究者であることが求められます。研究の実践性と科学性を循環してモデル(理論)の形成に努めなければなりません。すべての教育実践は、目の前に横たわる問題解決への道筋をデザインし実践するという「枠組み=理論」のたえまない構成と再構成の過程なのです。
このような視点を大切にしながら、様々な教育現場における実践を本学会に持ち寄っていただき、教育・研究・実践の在り方について、議論を重ね、深められる学会になっていくことを願っています。教育実践を丁寧に読み解きながら、そこから普遍的な理論の構築を図る「実践教育学」の展開に期待しています。